【これは、完全に沼です】フィレンツェ発・馬蹄型コインケースの魅力|自作して分かったこと

【これは、完全に沼です】フィレンツェ発・馬蹄型コインケースの魅力|自作して分かったこと

【これは、完全に沼です】

フィレンツェの馬蹄型コインケースにハマった理由は、「縫わない構造」にありました。革製品の弱点だった“縫い糸”をなくすことで、長く使えるというシンプルで合理的な答えにたどり着いたからです。

どんなに良い革でも、先にダメになるのは糸でした。「一生モノ」のはずが、数年で縫い目から崩れていく。その違和感に気づいたとき、「素材じゃなく構造を変えるべきなんじゃないか」と思ったんです。

そこで出会ったのが、フィレンツェの“縫わない”レザークラフトでした。

1. フィレンツェで、革に落ちた

観光のつもりで歩いていた路地裏で、ふと足が止まったのが小さな工房でした。ショーウィンドウには、無骨だけど妙に色気のある革小物が並んでいて、気づいたら扉を開けていました。 中に入ると、革の匂いと、リズムのある音。年配の職人が無言で手を動かし続けている。道具はどれも使い込まれていて、ピカピカというより“馴染んでいる”。観光客向けの店とは明らかに違う空気でした。

作り方はほとんど教えてくれません。「見て覚えろ」というスタンス。最初は戸惑いましたが、手を動かしているうちに、革の湿り気や力のかけ方が少しずつ分かってくる。この“感覚で覚える”感じが、妙に楽しかったんです。 気づけばローマに戻っても頭から離れず、またフィレンツェへ。完全に、この世界に引き込まれていました。

2. 縫わない構造という答え

縫わない、という選択は単なる簡略化ではありませんでした。

むしろその逆で、誤魔化しが一切効かない構造です。型紙のコンマ数ミリのズレ、革の厚みのわずかな違い、それらがそのまま完成形に出てしまう。

でもその分、理にかなっている。構造として無理がないから、弱点が少ない。縫い目に頼らず成立する形は、シンプルでありながら非常に強い。

「長く使うためにはどうするか」という問いに対して、素材ではなく構造で答える。その考え方自体に、強く惹かれました。

3. 作ってわかった難しさ

実際に自分で作ってみると、その難しさがよく分かります。

革の硬さ、弾力、しなやかさ。ほんの少しの判断ミスで、曲線は簡単に崩れる。縫って調整することができないぶん、一発の精度がそのまま仕上がりになる。 正直、最初からうまくいったわけじゃありません。コバはガタガタだし、細部を見れば粗もある。

それでも、一度でも理想に近い形が出ると、その感覚が忘れられない。またやりたくなる。その繰り返しで、気づけば完全にハマっていました。

4. 使ってわかった価値

そこで作ったのが、この馬蹄型コインケースです。


フィレンツェ発・馬蹄型コインケース

完璧ではありません。でも、それがいい。既製品にはない“自分の癖”が、そのまま形になっている。

実際に使ってみると、これがかなりタフです。縫い目がないぶん構造的に弱点が少なく、型崩れもしにくい。使うほどに革は柔らかくなり、手に馴染んでいきます。小銭の出し入れもスムーズで、見た目以上に実用的です。

今回使ったのは、フィレンツェでも定番のフルベジタブルタンニンレザー。最初は少し硬いですが、時間とともに色が深くなり、自然なツヤが出てくる。この“育つ感じ”がたまらない。



「一生モノ」を持つ、というより「長く付き合えるものを育てる」。 このコインケースは、まだ完成ではありません。使いながら、自分の形になっていく。その過程ごと楽しめるのが、このレザークラフトの魅力です。 作り方はあえて書きません。

でも、もし少しでも気になったなら、それが入口です。一度触れると、たぶん戻れません。

僕は、戻れませんでした。

そんじゃーね!

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