人生の遠回りを楽しむ旅。ジブラルタル海峡を越えて、無計画で挑むモロッコ入国戦記

人生の遠回りを楽しむ旅。ジブラルタル海峡を越えて、無計画で挑むモロッコ入国戦記

スペインからモロッコへ。 出会う人、出会う人が口を揃えて「モロッコはいい」と言った。 正直なところ、私は興味がなかった。 東南アジアやインドを巡り、途上国ほど金がかかり、神経を削ることも知っていた。なんとなく、想像がついてしまったのだ。アフリカへ行く予定も、本来はなかった。 ただ、3ヶ月という人生の長い帰路。 憧れを形にするために選んだこの時間の中で、私は「カミーノ(巡礼の道)」を歩き、一つの真理に触れていた。 ただ歩いているだけなのに、道は常に分岐し、私たちは選択を迫られる。 近道を選んでもいいし、遠回りをしたっていい。途中で離脱したって、誰も責めない。 けれど、私は知ってしまったのだ。遠回りをするからこそ出会える、予測不能な楽しさを。

だから、いざモロッコへ。 私はジブラルタル海峡を渡る船に乗った。

船上の出会いと、入国審査の洗礼


ジブラルタル海峡を越えてモロッコへ

船の中で一人の日本人男性に出会った。 歳は一つ上。100カ国を渡り歩いてきたという、本物のベテランだった。テントで襲われた話、留学の話。彼の語る旅の断片は、どれも野性的で刺激に満ちていた。 そんな話に聞き入っていると、船はモロッコの岸へ近づいていく。 差し出されたのは、入国審査の紙。 すっかり忘れていた。EU圏の自由な移動に慣れきっていたのだ。 モロッコ入国には「初日の宿泊先」が必須。その日暮らしのバックパッカーを決め込んでいた私には、書くべき宿の名前なんて一つもなかった。 「えぇー……」 テンパる私を見て、彼は笑って自分の宿を写させてくれた。 あんなにドキドキした入国審査だったが、拍子抜けするほどすんなりと、私はアフリカの地を踏んだ。

人類の始まりを感じる、圧倒的なスケール


ジブラルタル海峡を越えてモロッコへ

計画なんて何もない。私はそのまま、ベテランの彼について行くことにした。彼が向かうという最初の街「テトゥアン」 バスに揺られ、道中を移動する。 窓の外に広がるのは、まるでファイナルファンタジーの世界に迷い込んだかのような、とんがり山が連なる異様な景色だった。 日本にはない。アジアとも違う。 地球のスケールそのものが、塗り替えられていくような感覚。 「人類は、こんなすごいところから始まったんだな……」 理屈ではなく、本能でそう思った。

【エスカルゴの洗礼】


ジブラルタル海峡を越えてモロッコへ

モロッコでは、至る所でエスカルゴが売られている。 屋台から立ち上る湯気。地元の人たちが当たり前のように頬張る姿。 ずっと気になっていた。意を決して、一つ食べてみることにした。 味は……カレー味のゴム? お世辞にも「美味い!」とは言えなかった。一口で十分だった。 もちろん代金は払ったが、そっと売り子に返した。私のモロッコグルメ初体験は、ほろ苦い(というかゴムのような)思い出として刻まれた。

【親切な老人の「右手」】


ジブラルタル海峡を越えてモロッコへ

テトゥアンの街を歩いていると、一人の老人が声をかけてきた。 「タダで街を案内してやるよ」 旅慣れた人なら警戒するセリフだ。私だって別に案内なんていらなかった。 けれど、隣にいる100カ国旅人の彼が行くというので、なんとなくついて行くことにした。 老人は「はなめし革所」を熱心に紹介し、メディナ(旧市街)をぐるっと一周案内してくれた。 ……正直、これといって特別な発見はなかった。 案内が終わり、別れ際。 老人は、さも当然のようにスッと右手を差し出してきた。 「やっぱりかよ……」 「タダ」なんて言葉、最初から信じてはいなかったけれど。 結局、渋々チップを払うことになった。 100カ国の彼とは、ここでお別れ。ここからは、本当の一人旅が始まる。





あわせて読みたい:

【保存版】海外ひとり旅の持ち物リスト決定版!バックパッカーの必需品
あわせて読みたい

【保存版】海外ひとり旅の持ち物リスト決定版!バックパッカーの必需品

iiii.tk4design.com


【カミーノ・デ・サンティアゴ】巡礼100kmを目的もなく歩いた4日間。スペインで出会った人たちの話
あわせて読みたい

【カミーノ・デ・サンティアゴ】巡礼100kmを目的もなく歩いた4日間。スペインで出会った人たちの話

iiii.tk4design.com



【モロッコ・シャウエン旅行記】青い街の迷路を歩く。偶然の再会とタジン鍋の夜
あわせて読みたい

【モロッコ・シャウエン旅行記】青い街の迷路を歩く。偶然の再会とタジン鍋の夜

iiii.tk4design.com


RECOMMEND