ヌメ革ロングウォレット、できた。ピットヌメとドラムヌメ、二つの顔のこと。

ヌメ革ロングウォレット、できた。ピットヌメとドラムヌメ、二つの顔のこと。

久しぶりに新しい財布を使うことにした。

ボタンも留め具も何もない、正方形を半分にした長方形。シンプルと言えばシンプルだが、この形に落ち着くまでにはそれなりの理由がある。そして今回いちばん面白いのは、表と裏で素材を変えたことだ。

外装はピットヌメ、内装はドラムヌメ。同じ「ヌメ革」という名前がついているが、性格がまるで違う。その組み合わせがどう機能するか、そしてこれからどう育つか、記録していくためにこの記事を書いておく。

スタンダードというモデルについて

ヌメ革ロングウォレット - エイジング

このウォレットは「ロングウォレットのスタンダードモデル」 形は本当にシンプルで、正方形を半分に折った長方形。二つ折りの長財布、そのまんまの形だ。 なぜここまでシンプルにするかというと、余計なものをつけると革の経年変化が阻害されるからだ。革をまっすぐに育てたいなら、構造も余計なものを削ぎ落とすべきだと思っている。 もう一つ、シンプルな構造は修理・調整がしやすい。使っていて不具合が出ても、複雑な機構がないぶん対処がしやすい。長く使うための設計として、引き算の方向を選んでいます。

ピットヌメとは何か

ヌメ革ロングウォレット - エイジング

外装に使ったピットヌメについて、少し説明しておく。 ヌメ革とはタンニン鞣しの革のことで、植物由来のタンニンを使って動物の皮を革にしたものだ。合成樹脂を使うクロム鞣しと比べると、手間も時間もかかる。その代わり、使い込むほど色と質感が変化するエイジングが最大の魅力になる。 そのなかでもピットヌメは、特に時間のかかる製法で作られる。ピット槽と呼ばれる大きなタンク——昔は文字通り地面を掘った槽——にタンニン液を張り、革を浸けてゆっくり鞣していく。数週間から数ヶ月かけて、革の芯までタンニンを染み込ませる方法だ。 時間をかけて鞣されたピットヌメは、繊維が密で、かたい。手で触ると、革というよりも薄い板に近い感触がある。新品のうちはほとんど曲がらず、無理に折ろうとするとパキッと割れそうな気さえする。 だがこの密さと硬さが、エイジングの深さに直結している。繊維が詰まっているぶん、汗や皮脂、手の脂が少しずつ内部に浸透し、時間をかけてゆっくりと変化する。表面が育つのではなく、革の中から変わっていくイメージだ。

ドラムヌメとは何か

ヌメ革ロングウォレット - エイジング

内装に使ったドラムヌメは、ピットヌメとはまったく異なる製法で作られる。 大きな回転ドラムの中に革とタンニン液を入れ、ドラムを回しながら鞣す方法だ。物理的に揉まれながら鞣されるため、革の繊維がほぐれてやわらかくなる。ピット鞣しと比べると工程が短く、完成した革のやわらかさが特徴になる。 手で触ると、ふっくりとした感触がある。新品の状態でも指先に吸い付くような柔軟性があり、折り畳んでも跡が残りにくい。 財布の内装として使うには、このやわらかさが重要になる。カードを出し入れする、お札を抜き差しする、そのたびに内側の革はこすれ、引っ張られ、折られる。かたい革だと、繰り返しの負荷で革が割れたり、型崩れしやすくなる。やわらかく柔軟なドラム

##ヌメは、日常的な動作のストレスを受け流す。 外がかたく、中がやわらかい この組み合わせを選んだのは、それぞれの素材が得意なことを役割として振り分けたかったからだ。 外装のピットヌメは、形を保つ。財布としての骨格を担う。かたさが財布の輪郭を維持し、中身を守る。そして使い込むほどに色が深くなり、艶が出て、自分だけの表情になっていく。 内装のドラムヌメは、中身に対してやさしく機能する。カードやお札が傷つきにくく、毎日の動作がスムーズになる。 表と裏で役割が違い、素材がその役割に合っている。財布として使ったとき、そのバランスがどう感じられるか、それも記録していきたいポイントだ。

Day 0 の観察記録 完成した今日の時点での状態を残しておく。 外装(ピットヌメ) 色は薄いベージュ。ほとんど白に近い。光沢はなく、マットで平らな表面。 触ると明確なかたさがある。折り目はつかない。指で押しても、すぐ元に戻る。 匂いは、ヌメ革に特有の青草のような、植物性の香り。時間が経つほど消えていく匂いだ。 革表面の毛穴は細かく、均一。傷は今のところない。 内装(ドラムヌメ) 色はやや黄みがかったベージュ。外装より少し濃い。 触ると明らかにやわらかい。指が沈む感触があり、折り畳むと折り目がつきやすい。 外装と同じヌメ革でも、手触りがまるで違う。並べると素材の差がはっきりわかる。

全体の印象

ヌメ革ロングウォレット - エイジング

まだ「革」というより「材料」に近い。使い込んでいないから当然だが、まだ財布として馴染んでいない。カードを入れても、お札を入れても、革が硬くて少し窮屈な感じがする。 これが変わっていく。そこを見たい。

ヌメ革のエイジングで何が起きるか

ヌメ革ロングウォレット - エイジング

記録を読む参考に、ヌメ革がどう変化するかを簡単に説明しておく。 ヌメ革は使い込むにつれ、日光・汗・皮脂・摩擦によって色と質感が変化する。最初は薄いベージュだが、使い続けると飴色、茶色、濃い焦げ茶へと変わっていく。これをエイジング、または経年変化と呼ぶ。 特に日光への反応が強く、同じ条件で使い続けても、日に当たる面とそうでない面で色の変化に差が出る。財布の場合、外装の表面がいちばん変化しやすく、内側は変化が遅い。 ピットヌメは繊維が密なぶん変化に時間がかかる一方、変化の深さがある。じっくり育つ。ドラムヌメはやわらかくてすでに馴染みがよく、表面より使い勝手の変化として感じられることが多い。 この財布では、外と内で変化のスピードと性質が異なるはずだ。それが面白い。

##これから このブログで経年変化の記録を続けていく。 定期的に同じ条件で撮影し、革の変化を残していく。3ヶ月後、半年後、1年後。何年使えるか、使い続けてみる。 ヌメ革の財布は、使うほどに育つ。それをここで見せていく。

したっけねー。


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